Age-エイジ- ブランドディレクターインタビュー

---コンパクトウォレットを拝見して、手に馴染むサイズ感と、初めて見る小銭入れの形状に驚きました。

舘 ありがとうございます。一番苦労した点なので、そういってもらえると嬉しいですね。

---なぜこのようなお財布を作ろうと思われたんでしょうか?
舘 私は5年ほど前から、オリジナルのアクセサリーやレザーアイテムを企画・販売する仕事をしています。そんな中、昨年友人より「イギリスの有名ブランドの財布を愛用していてとても気に入っているんだけど、高くて小遣いでは新しいものが買えない。似たものを作れないか」と相談されました。
それまで革財布についての知識はあまりなかったんですが、それをきっかけに財布について調べていたらとても興味が沸いてきたんですよね。
特に、今のトレンドや人気の形、その理由を調べていると、一方で現状の商品では満たされていないニーズがあることが分かりました。

そこで実際に使うお客様の目線に立って、コンパクトだけど使いやすい財布を設計できるようゼロベースで考え直すことにしたんです。

エイジのコンパクト財布は、
「コンパクト過ぎない」ことが
大きなポイントとなっている。

---コンパクトなお財布はここ数年流行っていますが、さらに隠れたニーズを見つけたということですか。

舘 そうですね。具体的にお話すると、まず「コンパクト過ぎる」というのが一番分かりやすい不満として見えてきました。私もコンパクト大好き人間ではありますが、確かにコンパクト過ぎて自分の持ち物を極端に減らさなければ収納できないお財布というのが結構あるんですよ。ライフスタイルを変えよう!というコンセプトも理解はできるんですが、そうやってお財布に自分を合わせるんではなく、あくまでも「自分が使うもの」としてのお財布を作りたいと思いました。

 

---あぁ。なんとなくわかります。極端に小さい財布、いろいろありますね。
舘 薄いことには大きな価値があると思うんです。分厚いことにあまり必要性はないですからね。しかし小さくて物が入らないというのは基本的に考えて不便なんですよね。

なので、薄さを追求しつつ、お財布に必要な「紙幣・硬貨・カード」が程よく収まるサイズと設計を考案していきました。

---実際に形にしてみて、いかがでしたか?
舘 知り合いから紹介してもらった工場に作成を依頼しまして、最初のサンプルが届いたとき、これが実は全く薄くなってなくてですね…、とても焦りました(笑)
薄い革を使うことは当然でしたが、それだけだとあまり効果はなかったですね。
やはり既成概念をぶち壊さないと新しい商品は作れないなと実感しました。

試行錯誤して、ホックのない小銭入れが出来たときは嬉しかったですね!

 

---この小銭入れはユニークですよね。見たことがありません。
舘 そうでしょう(笑)。
薄さを優先するなら一般的なホック式、見やすさ、取り出しやすさを優先するならボックス式、などが考えましたが、薄さと使いやすさが両立していないと感じていました。

そうして、小銭入れのカバー部分にホックを使わないサンプルを作りましたが、これがなかなか難しく、どうしても小銭がこぼれてしまい、構造上の課題を解決することに半年間費やしました。

 

---小銭入れだけで半年ですか!
舘 そうなんですよ。合計6回ものサンプルを作りました。

しかし、サンプルを作るたびに新たな課題が見つかり、一つずつそれらの課題を解決していくことで当初から目指していた「コンパクトでありながら使いやすい」財布の形にたどり着くことができました。

 

---なるほど…思いが詰まっているのを感じます! どんな人に使ってほしいですか?
舘 そうですね。やはり一番は、長財布のせいで鞄を必ず持ち歩くストレスを抱えている方に使っていただければと思います。スマホと財布をパンツのポケットに挿して、手ぶらで出歩ける快適さを知って欲しいですね。
特に海外旅行では財布を鞄に入れておくとスリや強盗などの盗難リスクがありますが、パンツの前ポケットに入れておけばすられるリスクは格段に下がりますからね。安心して海外旅行を楽しめるようになります。

それから、極端にコンパクトな財布に違和感を感じていらっしゃる方にもお使いいただけたらと思います。

 

---この度立ち上げられた「Age-エイジ-」のブランドは、エイジングに拘っているとお聞きしました。エイジングとは具体的にどういうことでしょうか?
舘 革のお財布は、使っていると表面がツヤツヤになったり、全体的にくたっとしてきたり、色が濃くなってきたりするんですが、これら全部が「エイジング現象」です。使い込むことによって、革の中のオイル成分が表にでてきたり、革の中を移動したりします。また、使っている人の手の汗や油、日に当たれば紫外線、そういったものを取り込みながらも変化していきます。
この変化を楽しむ=革を育てる、という考え方をコンセプトの根底に持っています。

ですので、エイジングに適した革を使うことはもちろん、エイジングに無理のない設計を行っています。

---エイジングに適した革や、設計とは具体的にどういったことなんでしょうか。
舘 革の種類でいうと、ベジタブルタンニン鞣しの革を使っています。少し複雑になるんですが、革の鞣しは大きく分けてクロム鞣しと、タンニン鞣しの2種類があって、クロム鞣しは基本的にエイジングには向きません。
設計に関していうと、裏地に合皮を使うことはしません。

合皮は使い始めはいいのですが、普通に使っていてもボロボロになりやすく、場合によって激しく劣化してしまいます。そうすると2年くらいで買い替えが必要になってしまうんです。エイジングをお楽しみいただくためには何年間も使っていただきたいので、そういった素材はどこにも使用しません。

---舘さんご自身、エイジングを長くされてるんですか?
舘 私が使っている手帳が、かれこれ8年ぐらいの山羊革で、なかなかいい感じに育ってきてるんですよね。
確か3万円ちょっとしたと記憶しているんですが、縫製も糸一本すらほつれないし、エイジングの進んだ表の革が、いい感じにムラのある濃いブラウンに変わってます。
もとはシンプルなベージュのヌメ革だったんですけどね。
こういう商品だと何年持ってても違和感が全く無いですし、くたびれてるのではなく味が出てきた、と思えますし、人に見られても恥ずかしくないですし、愛着のある大切な相棒になっています。

やはり、ずっと使っていることがステータスになる、というのがエイジングレザーを楽しむ醍醐味だなーと思っています。

舘さん愛用の手帳カバー。
8年使ってとても味がでている。

---今後、どんな商品を開発していきたいですか?
舘 コンパクトウォレットから始まりましたが、今後も、長く使っていただくことでエイジングを楽しんでいただける商品を中心に提案していきます。

またミニマリストがトレンドになっている現代のライフスタイルにマッチするようなバッグや革小物アイテムも開発して行きたいと考えています。

 

---最後に…リフレッシュの方法と、好きな食べ物を教えてください。
舘 ネットでお笑い動画を観たり、アパレルアイテムを

ショッピングしたりしてリフレッシュすることが多いですね。
好きな食べ物というか、飲み物は赤ワインが大好きなので

外食するときはワインがおいしいお店を選びます。

ワインに合うチーズも好きです。
食事なら親子丼とかポルチーニ茸のクリームパスタとか。

でも何でも美味しいと感じるので、毎日幸せです(笑)

ブランドディレクター 舘 雅洋(たち まさひろ)